東京国立博物館の特別展『茶の湯』鑑賞記 まえがき

 東京国立博物館 平成館で開催中の特別展『茶の湯』を鑑賞してきました。「日本美の粋、茶の名品ずらり。」と銘打っているとおり、総計259点に及ぶ茶の湯の美術品が集められた大展覧会です。

 

 一日や二日では到底見きれないほどの点数で、私は仕事柄もっとも興味のある竹茶杓と籠花入のみの鑑賞に割り切り、用事の合間の一時間半ほどで展示を拝見しました。

 

 みじかい時間ではありましたが、拝見した道具について、順に感想を記してゆきたいと思います。まず本日はまえがきのようなものを。

東京国立博物館の特別展『茶の湯』入場券
東京国立博物館の特別展『茶の湯』入場券

 今回の展示品のうちで私が鑑賞した道具について、作品番号とともに記します。

 

No.79……竹茶杓 武野紹鷗 作(東京国立博物館蔵)

 

No.131……耳付籠花入

 

No.144……竹茶杓 タタイヘ様参 千利休 作(北村美術館蔵)

 

No.145……竹茶杓 銘 ゆがみ 千利休 作(永青文庫)

 

No.156……竹茶杓 銘 小倉山 古田織部 作

 

No.159……竹茶杓 銘 けつりそこなひ 細川三斎 作(永青文庫)

 

No.202……竹茶杓 銘 くせ舞 小堀遠州 作

 

No.228……竹茶杓 銘 柳緑花紅 松平不昧 作

 

No.248……唐物籠花入

 

 竹を素材とする作品では、ほかに千利休の作とされる竹一重切花入 銘 小田原がリストに載っています(No.130)が、展示替えのため私が訪れた際にはありませんでした。その代わりに、耳付籠花入と唐物籠花入を拝見することができました。

 

 私が拝見した品は計9点、そのうち7点が茶杓ということになります。茶杓はいずれも名品で、揃って拝見できる機会は貴重なのではないでしょうか。

 

 耳付籠花入は、利休が魚籃から取り上げたとされる品で、実際に使われた魚籃であったか、魚籃を模した花入として作らせたは分かりませんが、細い笹類を用いて、ざっくりと編まれながらも堂々たる存在感があります。西瓜ほどの大きさ、いわゆる砂金袋のような姿(断面はΩを逆さにしたような形)で、名の通りふたつの耳が付いています。

 

 唐物籠花入は、近代数奇者の平瀬露香旧蔵の品とのこと。上記の耳付籠花入とは対照的に、きわめて細い籐材を用いて上から下まで隙間なく緻密に編み込まれています。底には木製の土台が付き、手は二本の丸籐を絡めながら四カ所で籠と接続されています。精緻かつ合理的な工芸的作りは、いかにも唐物という佇まい。

 


 また、特別展『茶の湯』では古田織部より藪内家に伝わる「燕庵(えんなん)」の再現茶室が設えられ、そこでのみ撮影可(拝見は外からのみ)となっていますが、そちらにも「竹花入」があります。

 

 竹花入といっても実は木彫だそうで、作者は現代の作家である須田悦弘さん。花も生花ではなくやはり木彫。遠目からでは木彫と判別できない竹花入でした。水平方向に黒く見える節の線の上がうっすらと光って見えますが、実際の竹においても例えばマダケの場合には節の線の上が山形に盛り上がり、そこが光って見えるものですから、そういった細部の仕上げからも、竹らしく見えるように作られていることが分かります。

 

 まず、導入はここまでとして、竹茶杓と籠花入については来週以降、また感想を記したいとおもいます。

 

(*追記 7月2日、日曜日の午後、日本橋の三越カルチャーサロンにて、茶杓の講座をもつこととなりました。ご興味がありましたらご参加下さいますと幸いです)

 

須田悦弘さんによる木彫の「竹花入」と花
須田悦弘さんによる木彫の「竹花入」と花