竹と出会い、求めること

 作り手にとって、よい竹、よい素材との出会いは一期一会です。

 

 美しい竹に出会ったとき、幸いにして手元に幾ばくかの元手があればそれを求め、不幸にして少しの余裕のない時であっても、やはりなんとかしてそれを求めようとします。

 

 よい竹を求めたからといって、よい仕事ができることとイコールではありませんし、まして金銭的な意味で「元を取る」ことも、ほとんどの場合にはかなわないことでもあります。

 

 それでも、美しい竹があれば手に入れずにはいられないのが、ものづくりの性でありましょうし、よい竹を手元に置くこと自体が、自分の仕事と自分自身に対する褒美とも言えます。

 

古材の煤竹は、茶杓や花入そして菓子切りに
古材の煤竹は、茶杓や花入そして菓子切りに

 煤竹は、経年による竹の肌の美しさもさることながら、それぞれの竹が経てきた歴史それ自体が私の仕事に力を与えてくれるような気がして、とくに好きな素材です。

 

 茶杓を削ったり、花入にしたり、小さな菓子切りをつくったりと、少しずつ大事につかいます。竹と私の手から生まれたそれらを、お客様に求めていただき、また新たな竹を手元に置く、その繰り返し。

 

 ふと冷静になってみると、仕事のために竹を求めているのか、それとも竹を求めるために仕事をしているのか、ときどき分からなくなります。