梅雨 竹籠の手入れについて 2017

 夏の東京は6月よりも7月に入ってからが梅雨らしい天候なってきました。雨と湿気に加えて、気温が高くなってきたことで、生き物にとっては熱中症、竹籠や皮革のバッグなどのモノにとってはカビが心配になる時期です。

 

 竹籠の手入れの仕方については普段から尋ねられる機会がありますが、梅雨時はいっそう手入れに気をつけたほうがよいものです。以前にも記したことがありますけれども、この機会に2017年版として記します。

 

 丸のままの竹の表皮(いちばん外側の硬くてツルツルした部分)は、もっともカビが生えにくい部分です。反対側のいちばん内側もカビが生えにくく、どちらも表面にカビが生じる場合がありますが、布などで簡単に拭き取ることができます。

 

 問題は、縦と横に割ったり切ったりした際の断面で、そういった場所にはカビが生えることがあり、竹に厚みがある場合には内側までカビが浸透してしまうと完全に取り除くことは難しくなります(箸などは要注意)。そうなるまえに、まめに状態を確かめて早めに対処することがもっともよい対策ではないでしょうか。

 

 素材の状態としては古材の煤竹はもっともカビが生えにくく、そのつぎが油抜きをした白竹の順。そして、ご想像ができるかとおもいますが、竹林から伐り出した生の青竹はとりわけカビの生えやすい素材です。この春に青竹で作られた籠を、ご購入されたとしたら、籠に水気の残っている最初の梅雨はとくに気をつけたほうが良いと考えられます。

 

ブラシで竹籠を手入れする
ブラシで竹籠を手入れする

 日々、行いやすい竹籠の手入れは、ブラシを用いて籠の表面の埃を落とすことです。竹籠は密に編まれたものも、透かしに編まれたものも、編み目には凹凸があり、また竹ひごの表皮もツルツルのようでいて、よく見ると埃がたまります。そうした埃が湿気を吸って溜め込むことで、あたかも水の層で籠を包むような状態に近づくことになり、竹籠にとっては厳しい条件ができあがります。

 

 こうした埃をまめに落とすことで、湿気が溜まりにくい状態を保つことができますし、手入れの際に手や指で籠に触れることで籠に適度な油分を補充することもできます。なんとなく革靴の手入れに似ているかもしれません。靴は毎日おなじものを履き続けないように、収納に用いている籠も、時々は中身を取り出してケアをすることも大切。

 

 うえに挙げた写真のブラシは靴磨き用のもの(もちろん靴磨きとは併用せず籠専用に用います)で、馬毛でも豚毛でも良いですが、両方を幾つかの大きさで用意しておくと便利です。

 

 写真の籠は四つ目編みです。四つ目編みや、細密に編む網代といった編み方は、竹ひごを薄くして編むものですから、カビが生えることは滅多にないものです。ただし気をつけたほうが良いのは、肉厚な縁の部分で、縁と編み目の隙間など見えにくく忘れがちな場所はたまにチェックしておくと安心です。また、持ち手が付いている籠の場合には、持ち手の付け根なども見ておくべきポイントでしょう。

 


 

 より注意すべき籠の種類としては、たとえば、キッチンで調理を助ける籠や、テーブルの上で食材を盛ってつかうような籠、そばザルのようなもの。これらは水気に近いということもありますが、多くの場合やや厚めの竹ひごで編まれています(ござ目編みなど)ので、そこに湿気がたまりやすく、やはり買いたてのものなどはまめに状態を見ておくとよいと思います(青竹でできているもの、今年つくられたものはとくに)。

 

 それらの籠は、肉厚な竹の身の部分にややカビが生えやすい形ですが、そのいっぽうでは日々、頻繁に使われ洗浄されてもいますので、そういった意味では使いながら自然と手入れのなされやすいものとも言えますし、つかいはじめてから何年か経ったものはアクが抜けてくるのか、だんだんとカビが生えることもなくなります。

 

 また、工芸品、美術品として作られた籠については、細密な編み目のものも多く、拭き漆で仕上げられていたりもしますので、日用品に比べるとカビへの耐性はかなり高いものと考えられます。その代わり、使用の機会が少なく納戸などに仕舞われたままの時間が長くなると、場合によってはやはり縁や高台などにカビが生えてしまう可能性はあります。桐箱に入っているとしても、時々は取り出してみたほうが良いでしょう。

 

 

 梅雨に行うべき籠の手入れについて記してきました。これらは梅雨以外にも行ったほうがよいもので、あたりまえの習慣にできると、むしろ楽しみのひとつにもなるのではともおもいます。「手入れ」という字のごとく、結局はどれだけ手を掛けたかで、籠の寿命も変わってきますので、古い籠も新しい籠も、それぞれに愛でて、長く使っていただければ幸いです。