煤竹茶杓を貫く樋

 茶杓づくりの講座はひとまず終えましたが、ひきつづき断続的に茶杓の話をしてゆこうとおもいます。

 

 竹茶杓には、その中心を走る樋(ヒ)と呼ばれる溝があります。その樋が匙・スプーンにおける掬う部分の凹みのような役目を果たし、抹茶を掬うことができます。ただし、それは原則であって、竹の景色や姿形によっては樋なしで茶杓にする場合もないわけではありません。

 

 樋がどのようなものか分かる写真を見てみましょう。こちらは半割りにした煤竹を並べたものです。

 

茶杓の中央を貫く煤竹の樋(ヒ)
茶杓の中央を貫く煤竹の樋(ヒ)

 樋は、竹の枝が出る芽の上部を通るもので、成長前の枝が収納されていた場所の名残とでも言うべきものです。

 

 枝が出るのは一節につき一箇所のみ。また、竹林を観察すると分かるように、竹の根元から中ほどの高さまでは枝が出ませんし、先端付近では竹が細く、節の間隔も狭くなるため茶杓づくりには適していません。そもそも、古材の煤竹の場合には草葺き屋根をつくる建築資材として使われるものですから、枝つきの細い部分などはあらかじめ外される場合が多いでしょう。

 

 そうした条件をクリアした、茶杓づくりに適していると思われる竹であっても、肝心なところに傷や歪みが著しくて使えないという場合もありますので、1本の竹から作ることのできる茶杓の数はたいへん少ないものです。

 

 

 このように、竹の茶杓には樋が重要な役目を果たすわけですが、いっぽうで日用品の籠を作ろうとする場合には、こうした樋であったり、芽や枝はほとんどの場合に邪魔な存在になります。

 

 ある時は珍重され、ある時には邪魔になる……適材適所という言葉とその大切さが思い出されます。

 

 樋には、その形や向きなどもありますが、そのあたりはまた機会を改めて。