立川「天麩羅ト酒 ミコ」|料理を盛る器として竹籠を納めました

 東京の立川に新しく生まれたお店「天麩羅ト酒 ミコ」に、料理を盛る器としての竹籠を納めました。内装設計は世田谷区代沢の無相創さん。立川のお店は、数日前の8月15日にオープンしたばかりです。

 


船隊を組む竹籠
船隊を組む竹籠

 今回の仕事は、その無相創さんよりのお声がけではじまりました。無相創さんが、かつて西荻窪にお店を構えられたばかりの2003年頃から時々お店を訪れては、古道具を求めたり、店主の米原さんのお話を伺ったりしていました。ちょうどいま腰掛けている古い椅子も、西荻窪時代の無相創で求めたものです。

 

(無相創 ウェブサイト www.buaisou.com

 

 長いこと通っていた西荻窪のお店を最後に訪れたのは、2011年3月11日のこと。その後、完全に世田谷の代沢へ移転されてからは(私も世田谷へ越したのにも関わらず)、なぜだか足が遠のいてしまったのですが、私のことを忘れずにいてくださったようで、今回の「ミコ」様の内装と什器について検討される中で、指名してくださったというわけです。それが、今年の早春のことで、丸6年ぶりにふたたび無相創へ足を運ぶことになりました。

 

 籠のデザインは、まずお店のご希望の寸法と用途、そして縁をつけない形状というリクエストを伺い、写真のような籠を異なる素材で試作し、選んでいただきました。

 

 おおまかな意匠については、私が二十代の頃から展示の際などに一点ものとして制作していた籠の手法がもとになっていますので、似た籠を展示の際に目にされた方もいらっしゃるかとおもいます。

 

 そこから細部をさらに詰めて、各個に同じ寸法、同じ使い心地に揃えることができるよう、再現性の高い形にデザインし直し、最終的な形にしました。以前は自分の自由につくっていた形に使い手のご要望を反映させることで、籠の細部について検討し直す良い機会ともなり、籠が新鮮な形となって生まれ変わることができたように思います。

 

 籠に天麩羅を盛る際には、籠のうえに天紙を用いますが、籠自体の撥水・耐油性を高めるため全体に拭き漆を施して仕上げています。白竹に拭き漆を施すのは難易度が高いのでヒヤヒヤしましたが、綺麗に仕上がりました。

 

 そして、自分で作っているものながら、シンプルでありつつも贅沢で繊細な籠ですので、正直なところ、お店の食器として採用してくださったことに驚いてもいます(無相創の米原さんのお陰です)。お店のカウンターの素材もたいへん上質の木材を選んで使用されているようです。


竹籠に両手を添えるとこれくらいの寸法です
竹籠に両手を添えるとこれくらいの寸法です

 「天麩羅ト酒 ミコ」様の店内では、拙作の籠のほかにも、一般的な円形の竹笊(すず竹で編まれた甲州笊。それらは私の作ではありませんが、経年変化の楽しめるよい品だとおもいます)もつかわれています。そのほか店内・店外にも、竹の用いられているところがあるかもしれません......(探してみてください)

 

 ぶじ完成し、オープンを迎えたところで、無相創さんの手がけられた内装もぜひ味わいたいですし、上質な胡麻油と菜種油を吟味されているという天麩羅も、やはりお店でいただきたい、というわけで少し落ち着いた頃にお店を訪れることを楽しみにして、雨続きの8月後半を過ごすことになりそうです。

 

 なお、この籠は縁をつけずに端を束ね、籐で結んで仕上げる手法から「結ぶ籠」と名付けました。お店へお納めした籠とは微妙に寸法をかえて(ほんとうにごくわずか)、間もなく私の新たな定番としてお届けできるよう準備中です。そちらもまた準備が整いましたら、お知らせをいたします。

 

 「天麩羅ト酒 ミコ」の所在地は東京都 立川市 曙町2-22-22。駅からもすぐの立地のようです。立川へお出かけの際には、お立ち寄り下さいますと幸いです。