秋へ冬へ 素の竹の花入

 雨続きの8月の東京は、きのう、きょうと曇り空で、ときどきはうっすら日差しも。とはいえ夏らしい晴天とは程遠く、あいかわらずジメジメとしています。

 

 夏をあきらめた心は、すでに秋へ、そして冬へ。ふたたび来る花を迎えるための器をつくることに気持ちを向けています。


煤竹の一輪挿しに菊を
煤竹の一輪挿し

 二十代の頃は、花入といえばまず細密に編みあげた花籠で、竹ひごにも一本ずつ染色をしたり、拭き漆で仕上げたりと工夫を凝らし、花よりもまず籠を目立たせたい気持ちが勝っていた気がします。(いまもそうした工芸的な手わざに惹かれる気持ちはもちろんありますけれど)

 

 年を重ねるにつれ、秋や冬の落ち着いた空気を好むようになり、寂しい季節に咲く花の色を遮ることのない、目立たない素の竹の花入を求めるようになりました。


花の色、姿、その力
花の色、姿、その力

 そうしてまた、いくら技巧を凝らした籠であっても、美しい花の一瞬の飛翔とその高みには、とても及ぶことはできないのかもしれないと知るようにもなり、いまは花に添うような竹の花入が私は好きです。

 

 ......などと、少々枯れたことを言ってみましたが、じつのところ冬の先にまた来る春にも私の視線は伸びていて、花と競おうとするその火熱は消えてしまったわけではないのですけれど。