竹籠づくりの足場組み。ブログ展『机上の籠』

 

 先週末につづいて台風が近づいています。ほんとうに十月の末なのでしょうか。開催中のブログ展『机上の籠』は本日をもって全日程を終え、籠のご予約もこの記事の更新をもって締め切りといたします。

 

 はじめに、ブログ展という試みにお付き合いくださりました皆様にあつく御礼申し上げます。実際の展示と同じことはできません代わりに、実際の展示ではできないことをブログという場で試みることができました。

 

 ところで if の話になりますが、もしこの時期にギャラリーなどの場で展示をしていたら、会期中ずっと台風と雨ばかりの日程になっていたはずです。本来なら秋晴れだったはずの天候までがそっぽを向くようになると、現実の場を設えての展覧会や、固定されたお店を常時運営して物を販売するといった仕事のやり方が、本当に難しいことになるなと感じてもいます。(暴風雨直撃の展示は何度か経験したことがあり、ときにはハプニングも印象深いものですが)

 

 では本日の『机上の籠』を。


ラジオペンチと机上の籠
ラジオペンチと机上の籠

 二本のラジオペンチを籠に入れました。このペンチは私が籠づくりの仕事において実際に用いているものです。

 

 籠をつくるには、竹を割ったり削ったりする、鉈や小刀などの刃物が必要であることは言うまでもありません。長さを切りそろえる鋏も使います。ほかにも案外いろいろの道具が必要で、ペンチは仕上げの縁づくりの段階でとくに活躍する道具です。

 

 この籠の四角い縁は、やや厚みをもって削った竹を火で曲げて四角に成形し、内と外から四つ目の編み生地を挟んでいます。縁をぐるぐると巻いて固定しているのは籐という素材ですが、いきなり籐で巻くわけではありません。

 

 まず、細い針金を用い、数センチ間隔で籠の生地と縁とをぐるりと一周仮止めします。その際に必要なのがこのペンチです。(ちなみに、針金で巻く前には小型のクランプ、クリップのようなもので仮止めします。仮止め前の仮止めです)

 

 こうした仮止めは『机上の籠』のような比較的シンプルな籠であれば数十回の作業ですが、複雑な作品の場合には仮止めだけで数百回から千回以上の繰り返しが必要となります。たとえば建造物を建てる際の足場のようなもので、作業の進行とともに外されて、あとには残らない仕事です。(あとが残っては困るので、場合によっては竹の表面に養生を施すこともあります)

 

 こういった目に見えない工程というのは、ほかにも色々あります。とはいえ、籠をお使いになる方にとっては関わりのないことですから、「見えない手間がこんなに掛かっていますよ」といちいちお伝えするのも憚られるもの。今回はちょうど良い機会かとおもいますので、簡単に舞台裏をお伝えしました。

 

 ブログ展『机上の籠』はこれにて終了いたします。お付き合いくださりました皆様にもういちど御礼を申し上げます。どうも、ありがとうございました。

 

 来月、十一月からは、仕事のやり方、中身をやや大きく変えるつもりです。そのことについては来月のはじめにお伝えいたします。十一月こそは秋らしい天候になると良いですね。