『安藤忠雄展-挑戦-』写真を撮らぬことのむずかしい光

 六本木の国立新美術館で開催中の展覧会『安藤忠雄展-挑戦-』を鑑賞してきました。独学で建築の世界に入り、現在では世界的な建築家として著名な同氏の半世紀近い活動の歴史を記録し、同美術館にとっては開館10周年を記念する展覧会です。

 

 会場内には多数の建築模型や設計図面が並び、さすがに来場者も多く賑わっていました。最近の美術館の展覧会では、展示の一部分に撮影可能エリアが設けられることが増えてきましたが(逆に言えば、ほとんどの場合に展示の大部分は撮影不可能なわけですが)、本展覧会においては、屋外展示場に原寸で再現された『光の教会』が、その撮影可能エリアになっています。


原寸で再現された安藤忠雄『光の教会』内部
原寸で再現された安藤忠雄『光の教会』内部

 「ここで撮ってください」と言われた通り、素直にカメラを構えて写真を撮るのは、なんとなく悔しいような気がするものですが、その場に身を置いてみると、やはり撮らずに済ませるのは難しい、それだけの力を感じる場所でした。

 

 あいにく太陽は出ておらず、神々しい光の筋が暗い室内に伸びるようなことはありませんでしたが、西洋の教会とは異なるであろう日本ならではの曖昧な光線も、うまく受け止めているように感じられます。


光の十字架の先に、もうひとつの十字架が
光の十字架の先に、もうひとつの十字架が

 展示会場の終盤のエリアには、安藤忠雄さんの活動についての年表のパネルがありました。どういう時代、そして年齢がいくつの時に、どういった場所でどのような作品を成したのか、それがよくわかります。

 

 建築に限らず、優れた作品をつくるためには、作家本人が力を尽くせばものになるというシンプルな話では必ずしもないようです。一人ではできないことを成し遂げるための、創造の前提となる環境を整える力も大切だということを、作家の年表を見るたびに思い知らされます。