十一月よりの一年間の仕事について、大事なお知らせ

 

明日は立冬、暦の上では冬のはじまりです。

 

十一月より、一部の仕事の受注を一年のあいだ停止することにいたしましたので、お知らせいたします。

 

具体的には、個人のお客様よりの日用の竹籠の新規の受注制作を停止します。

 

すべての日用品制作ではなく

「日用」の

「籠」の

「受注制作」

についてのみで、停止の期間も一年間です。

 

籠以外の、たとえば箸や菓子切りといった仕事は継続し、各お取扱店への納品も継続します。茶杓などの茶の湯の道具もつくります。あくまで、個人のお客様より直接に受注する日用品の籠づくりを、一年間はお休みさせていただくということです。

 

その目的は、作品制作により多くの時間を費やすため、つまり私の個人的な都合によるものです。

 

実は先ほどからずっと、その背景や理由、私の仕事の15年半の歴史について、長々と書いたり消したりしていました。しかし、どこまで記そうと最終的には私の勝手な都合であることに変わりはないとも考えましたので、今はやめます。一番大事なことを少しだけ書いて、あとは仕事を通じて何らかの形で伝わるよう努めます。


 

私は仕事において三つの軸を持っています。

「日用の道具」「茶の道具」「作品」がその三つです。

 

この三つは互いに支え交わりあい、行き来をするもので、明確な区分は実はありません。そしてこの三つの点があることで私が存在します。

 

しかし、点のひとつである、作品づくりが今はとても弱くなっています。作品づくりは、ほかの二点なしでは支えることのできない弱い点です。それゆえに二点を強くしようと努めてきましたが、皮肉なことに作品という点をかえって弱める結果になりました。

 

作品づくりは厄介なもので、強くなりすぎると今度は私自身が弱ります。かつての私はそれで弱り切ってしまい、身を守るためにこの厄介者を抑え込みました。ほどほどに弱いほうが目先の世界は平和なのです。

 

この数年、厄介者を手なずけた私はやや穏やかな時間を過ごしました。しかしそれは偽りの平穏に過ぎませんでした。やはり私にはこの厄介者が必要なのです。下手をすると次は完全に命を取られるかもしれない、この凶暴な存在に、私は少しずつ命を吹き込み、蘇らせることに決めました。

 

作品と私とが和解する日は来ないかもしれません。けれども、かつては互角に戦うことができなかった強敵と、私はもういちど対峙し、同じ力で立ち続け、歩み続けられる道を探すことにしました。

 

そのために必要な手を、この一年で打ちます。やめることもあれば始めることもあります。失敗することもあるかもしれませんが、打てる手は臆さずに打ちます。