節の多くて細い竹を生かす

 

 竹籠を作るには、節の少ない太くて真っ直ぐな竹が使いやすいものです。

 

 節の部分は凸形で折れやすく、繊維の通りも複雑でいびつな姿をしているために、編むときには気をつかいますし、もっといえば邪魔になります。また竹ひごに加工するにも節の部分は余計に手間がかかりますので、節が多いほど加工の手数がかかることになります。

 

 たとえば日用品の籠を同じ寸法で(ある程度の価格の中で)たくさん作りたいといった場合には、手数を減らすためにもできるだけ癖のある素材は避けたいものです。

 

 しかしながら、そういった素直で扱いやすい竹は皆が欲しい素材で、需要が多いことに対して供給が追いついていません。

 

 長い間、竹を扱う仕事は不況がつづいていましたから、素材となる竹を育てる仕事に就く人も、状態のよい竹林もすっかり減ってしまい、急に需要が増えたからといってすぐには供給が増えるわけではありません。

 

 一般的な木材に比べれば成長が早い竹とはいえ、やはり林業ですから長い目で育てなければ良い素材は生まれないというわけです。年々、欲しい竹は手に入りにくくなっていることを私の場合にはつよく実感しています。

 

 とはいえ、日用品の籠づくりに限らなければ節の多い竹というのも、手間は余計にかかりますけれども、うまく生かす方法がないわけではありません。場合によっては、素直な竹では得られない面白みを味わうこともできます。茶の湯の道具はそのひとつの例だとおもいます。


細くて節の多い竹をどう生かすか
細くて節の多い竹をどう生かすか

 写真の竹は親指くらいの太さの、節の多い竹です。ゴツゴツしてほんとうに手の指のようでもありますね。

 

 ではこういう竹が安価でたくさん手に入るかというと、これはこれで高くつく素材で、しかも加工に手間がかかるので好んで扱う人は少数派だとおもいます。

 

 好む人がいない材ということは、競争は少ないですし、うまく生かせば私ならではのものが作れるかもしれません。実際、これでなければいけない仕事もときどきあります。

 

 もともと、東京で籠を作っている以上は素材には事欠くことが当たり前。手に入りにくい素材を求める努力もするいっぽうで、作りたいものに竹を合わせるだけではく、竹の形に作るものを合わせてゆくことも行わねばなりません。

 

 面倒とおもえば面倒、面白いこととおもえば発見もあり面白味もあります。やっかいな仕事になりそうですが、仕事場の一角に寝かせておいたこの竹を布で丁寧にぬぐって、ひさしぶりに付き合いはじめたところです。