竹製ロケットの伝統行事、秩父吉田の「龍勢祭り」と藤枝の「朝比奈大龍勢」が近く開催されます

 

 2018年の10月は竹が重要な役割を担うめずらしい伝統行事が行われる予定です。それは、通称「竹ロケット」などとも称される「龍勢」の祭りです。ひとつは埼玉県秩父市吉田の吉田龍勢で、祭り自体は「龍勢祭り」と呼ばれるもの。もうひとつは静岡県藤枝市の朝比奈大龍勢です。

 

 それぞれ開催される日程は、吉田龍勢が2018年10月14日(日)で、朝比奈大龍勢が2018年10月20日(土)の予定です。朝比奈大龍勢については2年に1度の開催となっており、今年がその機会ということになります。

 

 私は2014年秋に行われた朝比奈大龍勢を見に出かけた経験がありますので、その時の様子について、ブログで簡単にご紹介したいと思います。

 

 そのまえに、それぞれの祭りの伝統行事としての性質についてですが、記録として残っている龍勢の資料は明治以降のものだそうで、本当の起源は実際にはよく分からないようです。

 

 吉田龍勢は「農民ロケット」とも呼ばれ、一方の朝比奈大龍勢は戦国時代の通信用の狼煙(今川家家臣の岡部氏と朝比奈氏による)が起源などと言われていますが、正確なところは不明です。私も2014年当時に多少の資料にあたってみて、できればブログにまとめようと試みたものの、やはりよく分かりませんでした。いずれも打ち上げ前に願い事を込めた口上を読み上げる手順になっていますので、現在では農耕儀礼的な性質を引き継いだ祭りといって良いかもしれません。

 

 歴史的な経緯はさておき、なかなか見応えのある祭りです。では写真を。


朝比奈大龍勢、打上げ前の発射台(2014)
朝比奈大龍勢、打上げ前の発射台(2014)

朝比奈大龍勢、打上げの瞬間(2014)
朝比奈大龍勢、打上げの瞬間(2014)

朝比奈大龍勢、飛翔の航跡と花火の発火(2014)
朝比奈大龍勢、飛翔の航跡と花火の発火(2014)

朝比奈大龍勢、仕掛け花火と落下傘まで成功の様子(2014)
朝比奈大龍勢、仕掛け花火と落下傘まで成功の様子(2014)

 朝比奈大龍勢の龍勢は、仕掛け花火の入った「ガ」と呼ばれる先端部と、その下に伸びる「尾」(姿勢制御のための15メートルもの長い竹)、「ガ」の下で火薬を燃焼して推進力を発生させる「吹き筒」によって出来ています。

 

 これらの一式が高さ20メートルの常設櫓(写真 1枚目の左に見えるもの)の右脇に垂直に設置され、朝から夜まで約20分間隔で合計30本、設置と発射が繰り返されます。

 

 薬量約3キログラムの火薬の燃焼から生まれる推進力で、全長15メートル以上もある竹製の大きな飛翔体が高度約300メートル前後まで打ち上がる、その迫力は数百メートル離れた場所から見てもなかなかの迫力があります。

 

 打ち上げ前の写真で後ろに見えている小山を、打ち上げ後の写真では軽く超えてしまっている様子からも、その迫力の一端を感じていただけるのではないでしょうか。実際にはこれに発射音やスピード感が加わり、現代のロケットに勝るとも劣らない勢いを感じることができます。

 

 実際の打ち上げにおいては、成功率は必ずしも高くありません。たとえば夏祭りの花火に比べると失敗率が高く、およそ半数程度は失敗します。専門の花火師による打ち上げとは異なり、龍勢の製造は地元の一般の人々の手で行われます。現場へ行って見ると、なんとも言えないローカル感というかユルい雰囲気も味わえて、それはそれで楽しいものです。

 

 吉田の龍勢祭りは、まだ訪れたことがありません。仕掛けの具合も異なるようですので、一度は見に出かけたいと考えています。

 

 ところで、もし興味を持たれた方がいらしたら、ひとつだけお知らせを。朝比奈大龍勢の会場は、広くて平らな盆地状の地形で、直射日光を遮るものがありません。日中は想像以上に暑く、日焼けもしますので、その対策だけはなさったほうが良いと思います。

 

 今年の龍勢の成功を祈念します。