資料としての煤竹、そして煤竹箸

 

 煤竹箸を削っています。熱いご要望をいくつかいただき、それにお応えするべく長く手元に保管していた材を使うことにしました。

 

 この竹は私がある理由から自分の資料用(民俗学的というと大袈裟ですが個人的な好奇心から)として特別に手元に残している竹の一部です。煤竹は茅葺き屋根の古民家の建築素材として百数十年、二百年といった長期間を、数世代の人々の暮らしとともに過ごしてきた素材です。暮らしの痕跡を随所に見ることができる資料でもあります。


左から煤竹、鉈、箸一膳分の煤竹、荒割りした煤竹
左から煤竹、鉈、箸一膳分の煤竹、荒割りした煤竹

 この竹については、特別な理由があって保管していたもので、詳しくはまた改めて記す機会を設けたいと思いますが、簡単に記すと、中に米を保管していた竹です。その確かな痕跡がいくつか見られます。

 

 かつて年々お米を貯蔵していた煤竹から、ご飯をいただくための箸を作るというのは、考えてみればいかにもふさわしいもので、きっと良い箸に仕上がるのではと思います。

 

 良質の煤竹を手に入れるのは以前から困難ですが、年々その傾向は強まっており、とくに箸を削るための素材の入手は極めて困難です。

 

 現在、この資料用の煤竹を除いては、私の手元には箸の材料となる太くて良質の煤竹はほとんど残っていません。常に求めてはいるのですが、ほとんど出会いもなく、出会っても箸に使える価格ではありません。

 

 今回、ご注文をいただいているお箸と、少しの予備が仕上がる見通しです。削りあげたのちには拭き漆を重ねて仕上げます。

 

 仕上がりましたのちに(余裕があれば経過も)、またブログに掲載をいたしますので、ご興味がありましたら、またご覧くださいませ。

 

 食欲の秋ですね。私も次の個展までの体力を蓄えるために、なるべく食べようと心がける秋です。