老婦人と飛行艇

 

いまにも降り出しそうな道を

おばあさんがやってくる

自転車に乗って

 

重いペダルはゆっくり

あくまでもゆっくりと回転し

ナイロンの雨合羽は

それとは反対に

バタバタとせわしく波打っている

 

その音はまるで

飛行艇のエンジンのよう


透かし編みの竹籠を編んでゆく
透かし編みの竹籠を編む、きょうは雷の日

 

向かい風を受けながら

漕ぎつづける彼女は

あと一息で飛び立ちそうな様子で

 

たぶんおそらくは

本当に飛んでいたのだとおもう

 

黄と黒に塗られた

踏切に船が届く寸前

 

飛行艇の老操縦士は

左へと舵を切り

北の空へ飛んで行った

 

 

 * * *

 

来月9月14日からの個展のお知らせは、今週中にできます予定です。

またどうぞお立ち寄りください。