真竹の白竹のこと|竹工芸・竹細工の素材の話

 

 こんばんは。明日の東京は雪が降るかもしれないという予報で、今夜はとても冷え込んでいます。これから、何回かに分けて、私が竹工芸に用いる素材の話を書きたいと考えています。

 

 素材の竹のことは尋ねられる機会が多いもので、これまでにもお話をしたり書き記したことはあります。お客様からの購入にあたってのお尋ねはもちろんのこと、竹工芸・竹細工をやってみたいというかたの関心もあろう話題かと思われますので、改めて書き記してお伝えをしたいとおもいます。私自身もときどき意識し直す必要を感じるところでもあり。では、はじめます。

 

 今回は日本で使われる竹として最もポピュラーな竹、マダケの白竹を取り上げます。

 

 まず「真竹=マダケ」という名まえは植物としての名称(苦竹とも書きます)、そして「白竹」は竹の状態を表す言葉です。竹林に生えていたり伐りたての状態ならば「青竹」ですね。伐採したのちに数ヶ月を費やして適切な処置をほどこすことで「白竹」ができます。

 

 詳細の説明はあとにして、さっそく、写真を見てみましょう。


日本の美しい竹の代表とも言うべき真竹の白竹
日本の美しい竹の代表とも言うべき真竹の白竹

 日本で最も太い竹はモウソウチク(孟宗竹)、その次に太いものがこのマダケです。

 

 太いということは、幅の広い竹ひごを得ることができ、一本で沢山の材料を得ることができる、優れた素材ということになります。

 

 太さや厚みなど、大きいという点ではマダケはモウソウチクにかないませんが、ほかの点ではほとんどマダケが勝ります。マダケは節と節の間隔がより長く、かつ繊維が緻密で柔軟性があり、厚すぎず薄すぎない、よい厚みをもっているため、竹籠にするにも、削りにつかうにも、加工のしやすさという点では随一の竹です。

 

 おなじマダケであっても、生育環境や竹林の手入れ次第で太さや節間の長さなどが変わります。太くて傷がなく、断面が真円に近く、節間が長くて節が低い竹が、一般的な用途において使いやすい竹ということになります。

 

 

・「白竹」について

 

 健康な竹林に生えている、青々とした竹の状態が「青竹」です。伐採してしばらくは青みが残っていて、それも青竹です。お正月の門松の状態ですね。その青竹に油抜きという一連の工程を加えてできるのが「白竹」です。

 

 白竹をつくるためには、まず晩秋から年末にかけて竹を伐りだします。

 

 寒くて乾燥した冬の間にその青竹を陰干しして、ある程度の水分をぬくことがまず最初の段階。次に、熱を加えて竹の中にある成分を浸み出させ、熱いうちに丁寧に布で拭き取ってゆきます。これが「油抜き」です。油抜きをした竹は明るい色、うぐいす色になります。ここまでが二番目の段階で、およそ節分の頃までにおこなうのが目安と言われます。 

 

 そして、その後は晴天の日に日光に当てることで、だんだんと白い竹、つまり白竹になります。日光に晒す、という工程からか「晒(さら)し竹」ともいわれます。こうして伐採から数ヶ月かけて白竹の状態にすることで、竹を長期のあいだ保管することが可能となります。

 

 ちなみに、上記の写真の竹は数年を経過しているために黄色味を帯びたよい色になってきました。経年で徐々に色は濃くなってゆきます。

 

 青竹でも、もちろん竹籠を作ったり竹箸を削ったりはできます。ただし、伐りだした竹は気温の上昇とともに内部の成分が変化して、だんだんと状態が悪くなってしまうものです。その年の気候にもよりますが、長期間の保管をするためには白竹にする、これがひとつの有効な手段として生み出されました。

 

 こうして長時間をかけて作られたマダケの白竹は、クラフトとよばれる清潔感のある日用品の白い竹籠の素材になったり、あるいは竹工芸の素材として精緻な籠づくりにも。このように汎用性が高く、傷の少なくて美しい白竹は上質な材として貴重なものです。

 

 ことさらに主張しない、シンプルな素材である美しい白竹が生まれるまでには、多くの手がかかっています。