昨年、2018年は茶杓の削りに力を入れますと、あらかじめお伝えをして削りました。初めて茶杓を中心にした個展も行いました。私は事前に何かを宣言することは得意ではありませんが、あえてしてみた、その成果はあったようにおもいます。
淡交社の茶道雑誌『なごみ』の茶杓特集に声を掛けていただいたことは、私にとってはとくに大きく、雑誌の企画のために、ご期待に応えるべく気を入れて削ったことで、昨年の私にとっては一番の茶杓をつくることができました。

この茶杓を削ることができたために、茶杓を中心にした個展へとつながり、その個展を催すことができたために、茶杓の仕事を一段上へと進めることができました。
茶杓を削りますと、あえてお伝えしたことに対して、多くの方がおおきく反応してくださったために、今年もまた茶杓を削ることができます。

昨年末の個展、西荻窪のギャラリー壽庵さんでの個展を通じて、この茶杓の行き先は決まり、私の手元をはなれました。
おそらく最もよいきっかけで茶杓は生まれ、おそらく最もふさわしい形で、茶杓はあたらしい生を得ました。
とても気に入っている茶杓で、少々の寂しい気持ちもありつつ、この茶杓が旅立つことによって、その空白にまた何かが生まれるに違いないとも感じています。
今年も私は茶杓を削ります。茶杓だけでなく竹籠も作ります。
今年いちばんの茶杓、今年いちばんの竹籠、それがより良い姿に、より良い形に生まれることを想像しています。立春。