真竹の煤竹のこと|竹工芸・竹細工の素材の話

 

 こんばんは。竹工芸・竹細工に用いられる主な素材の紹介、2回目です。前回はマダケの白竹について話しました。今回は同じマダケの「煤竹」についてです。 

 

 マダケという竹の種類や、白竹という竹の状態の説明は前回の記事をご覧ください。

 

 煤竹は「ススタケ」「ススダケ」などと読まれます。似た発音の竹で「スズタケ(篶竹)」という種類の笹があり、ときどき混同される場合があるようですが、まったく別物です。

 

 煤竹とは、簡単に言えば、百数十年から二百年前後の長い間、囲炉裏の煙で燻されてできた古い竹の状態のことで、スモークされた褐色の竹ということになります。およそ江戸時代の終わりから明治時代のはじめころに建てられた古民家の材料だったものです。写真をご覧いただきましょう。


茶杓の削りに用いる細めの煤竹
茶杓の削りに用いる細めの煤竹

 茶室や日本建築の内装でご覧になったことのある方もいらっしゃるかと思います。もともとは古民家の茅葺き屋根を支えていた建築材料で、長年のあいだ煙に燻されることで、色は濃く、材質は硬く変化したものです。それらが茶室や日本建築などにおいて内装の素材として珍重され、あるいは茶道具などに使われる素材ともなります。

 

 煤竹はなんらかの理由で古民家が解体される際に得られる古材ですから、古民家から外した状態ではビッシリと煤にまみれており、まっ黒の姿です。それを綺麗に磨いて、長年のあいだに焦げたり、雨漏りした場所などを除いた、状態のよいところを竹工芸に用います。

 

 私もこれらの煤竹を手元に集めて、茶杓や菓子切り、ときにはお箸をつくったり、竹籠の要所に用いたりします。年々貴重になる素材で、お箸を削ることができるほど太くて質の良い煤竹は、現在ではほとんど入手ができないようになりました。

 

茶の湯の道具をつくる仕事について

 

 たいへん美しい竹ですが、古いだけあって傷もあり、材質は硬く、あるいはもろい面もあり、しかも場所によって均質ではなかったり、とても扱いの難しい竹です。上級者向けの素材といって良いとおもいます。

 

 自分の年齢はおろか、親や祖父母よりもさらに年上の素材です。経年の美しさ、これまでに経験してきた歴史の長さに、畏敬の念をおぼえる特別な竹です。

 

 ここまで、真竹の「白竹」と「煤竹」についてご紹介しました。つぎはべつの種類の竹、黒竹についてお話しをするつもりです。