火と熱湯で竹の形をつくる

 

 竹籠の縁をつくったり、茶杓の櫂先を曲げるなど、厚みのある部材を形づくる際には、火の熱や湯の熱を用います。

 

 竹がある温度に達した時、通常よりも一瞬だけ柔らかくなるときがあります。その時に竹を曲げて、のち冷やすことでふたたび固まり、しばらく放置して乾燥させることで、熱を用いないではつくれないような形もつくることができます。

 

 「ある温度」というのは秘密の一定の温度があるわけではなく、その竹ごとに柔らかくなる瞬間が訪れた時、そこを見逃さずに曲げます。


竹の輪を熱湯で煮る
竹の輪を熱湯で煮る

 写真は小さな竹籠の縁、それも内側の縁をつくっている途中です。ある程度の直径をもっていれば、竹で緩やかなカーブを描くことは熱を用いなくても可能ですが、極端に小さな直径にしたり、あるいは竹の皮を内側にして曲げる時には、しばしば熱を用います。この写真では直径3センチほどです。

 

 厚みをもった竹は、外側の繊維が強く、対して内側の繊維が弱いため、その力の差によって、内側へ曲がりたがる性質があります。ですから、その曲がりたい方向と反対に曲げる場合には、少し力を加えてやる必要があります。

 

 たとえば、竹の茶杓をつくる際には、そもそも厚みがあって曲げにくいうえに、皮を内側にして、ある程度の急角度で曲げますので、とくにコツがいるポイントとなります。

 

 火の熱で曲げる場合には、焦げることに注意します。また、熱が加わって柔らかくなる一瞬の時間が過ぎると、今度はもろく、折れやすくなりますので、その点にも注意してさっと曲げます。

 

 写真の縁は、まずは火の熱で、求める直径よりも細くなるように曲げ、そののち冷却と乾燥をさせてから、今度は湯の熱で温めることで、少し伸ばしてやり、カーブを緩くします。ふたたび冷却と乾燥を経ることで、ようやく籠づくりのパーツがひとつできます。

 

 せっかく時間をかけて削って、曲げるところで失敗してしまうと、それまでの工程が無駄になりますので、熱を用いるのは、すこし緊張をする場面です。