煤竹拭き漆箸の完成|納品と今後の箸のこと

 

 煤竹箸が仕上がりました。ご予約をいただいておりましたお客様とお店へ順次納品をしております。箸に使える古材の煤竹はしばらく入手ができておらず、今回の納品で煤竹箸はいったんおしまいになります。(手元にある材で使えそうなものが若干残ってはいますが、もし削ったとしても少し姿が変わります)

 

 箸はかなり濃い目の褐色の煤竹を用いて、仕上げに拭き漆を重ねて仕上げています。いつものように百数十年以上を経た古材の煤竹です。

 

 手に持った感じはこのように。


煤竹箸を手にしたイメージ。竹工芸家 初田徹
煤竹箸の先端は細く、元はじゅうぶんな厚みに削っています

 素材が残り少なかったため、恐れ入りますが、以前からお問い合わせを頂いておりましたお客様と、お約束をしていた取扱店への納品分で在庫払底となります。

 

 吉祥寺にある常設取扱店のOUTBOUNDさんへ、少数ですが煤竹箸の納品をいたしました。定番として削っている煤竹菓子切り「ささのは」と合わせてご覧くださいましたら幸いです。

 

 煤竹に拭き漆を施した箸は、軽さと堅牢さ、美しさといった点において、箸のなかでも最上のもののひとつだとおもいます。ただし、残念ながら素材の確保が極めて困難になっております。もし手に入るとしても、年々少なくなる素材で、いずれは一切入手不可能になることが予想されます。

 

 箸と、菓子切り、茶杓とでは同じ煤竹でも用いるに相応しい寸法や性質が異なります。茶杓や菓子切りはまだしばらく削り続けることができますが、箸に関しては素材の継続性について考え直すべき時にきていると感じます。

 

 竹箸のご要望は常にいただいており、継続的に上質の箸でお応えできる道を見出したい気持ちがございます。まだ適切な答えはでませんが、素材の竹(煤竹)がもつ力を多く借りる形から、私自身の手技によって素材を高めてゆける形へ変換することを考えています。


煤竹箸の全体のイメージ。竹工芸家 初田徹
煤竹箸の全体のイメージ

 箸は漆などでコーティングをしたとしても、一膳をずっと使い続けられる道具ではありません。毎日繰り返し使用するなかで、徐々に寿命を減らしてゆく道具です。

 

 ある面では作ったものが消えてゆくことは悲しいのですが、べつな面においては、道具がゆっくりと消費されてゆくことが竹林等の環境や資源にとってプラスになるような、持続的なものづくりのあり方をつくることができるのではと、このところ考えています。ただし、理念先行ではなく箸としての質が高いことを前提として。

 

 まだ具体的な形は定まっていません。良質の箸を、持続的な形でつくること、作り手として納得できる方法を探しているところです。

 

吉祥寺 OUTBOUND ウェブサイト