ヤモリと風と夏の鳥

 

 この夏は冷たい長梅雨がつづいたと思えば梅雨明け後には一気に猛暑、なかなか心身に堪える気候です。人間のみならず野生の生き物にも辛い夏ではないでしょうか。

 

 夏の夜には電灯に集まる虫を狙ってあらわれる、小さなヤモリを見るのが楽しいものです。クリクリとした瞳やいっぱいの「パー」に開いた掌は、なかなか可愛らしいと私には感じられて、好きな生き物のひとつです。

 

 いつのまにか窓から室内に入り込んでいることもありますが、ことしは同じ場所に佇んでいる姿を、日中に目にすることが何度かありました。暑さや、野鳥の攻撃から逃れようとしているものか。


室内へ避暑に訪れたヤモリ
室内へ避暑に訪れたヤモリ

 彼が出入りすると思しき小窓を細めに開けておくと、おそらくそこを通る風が心地よいのか、内外どちらへも逃げられる都合の良さもあってか、しばしば窓辺で見かけるようになりました。

 

 ヤモリは家守というくらいで縁起のよいものですから、私としてはいっこう構いません。いまは生き物を飼うことはできませんが、勝手に来て、隅で静かに過ごして勝手に帰ってくれるのならば、むしろ歓迎したいものです。


市街地の電線に集結するムクドリ
市街地の電線に集結するムクドリ

 真夏になると見かける野鳥の種類が少なくなりますが、カラスやムクドリは都市の生活を謳歌しているようです。ヤモリにとっては彼ら野鳥は恐ろしい存在。

 

 とくにムクドリよりもひとまわり大きなヒヨドリは、飛行するのもたいへん上手で、茂みのなかからヤモリをさらっては巣へ運んでゆきます。彼らも子育てや自分の生活に必死なのでしょう。


ムクドリの群れは日没ちかくなると集団で塒へ帰るようです
ムクドリの群れは日没ちかくなると集団で塒へ帰るようです

 つがいや単独でみかけるヒヨドリと異なり、ムクドリは群れをなします。街路樹や電線にわだかまって、集団で鳴き声をあげる生態は、一種の公害のようにもなっていて、なんとか追い払おうと知恵を絞る自治体も。

 

 たしかに家の隣で延々と群れの鳴き声を聞かされるのはストレスでしょう。かといって野鳥がいなくなればこんどは虫が増え、といったこともあり、自然との付き合い方は難しいものだとおもいます。

 

 ところで例のヤモリですが、ここ数日は姿を見せません。避暑地はいくつかあるのでしょうから、そこで元気にしているとよいですが。