長く美しい竹を割る

 

 こんにちは。昨日掲載しました長く美しい竹を割っています。

 

 竹は同じ種類であっても一本一本に太さや厚み、節の高さや節の間隔が異なります。また柔軟性も異なり、硬質の竹もあれば、しなやかな竹もあります。

 

 一本の竹からひとつの竹籠を作ることもあれば、いくつかの竹を用いる必要があることもあります。複数の竹の性質を、ひとつの籠の中に破綻なく調和させるためには、まずは木取り(この場合は竹ですが)に留意して材料を拵えてゆきます。

 


煤竹色の美しいマダケ(竹工芸家 初田徹 BLOG)
煤竹色の美しいマダケ

 木取り以前の段階で、竹の性質や寸法にかなう設計をすることもまた同じだけ大切で、どちらが優先ということではなく、いずれも同時に考えながらイメージを具体的な形にする方法を考えます。

 

 素材となる竹は、もとのイメージや設計にできるだけ近いものが理想ですが、自然物ですからすべての要素が理想通りになることはありません。偶然がもたらす予定との齟齬を、むしろプラスにできるよう現実の中で調整してゆきます。

 

 そのうえで、具体的に木取りをして、できるだけ無駄のでないように竹を割ります。鉈で割ったあとには小刀で一本ずつ微調整をすることになりますが、その削りもできるだけ少なく済むよう、よく考えながら正確に竹を割ります。


できる限り均等の寸法に竹を割ります(竹工芸家 初田徹 BLOG)
できる限り均等の寸法に竹を割ります

 すべての竹のすべての節は大なり小なり直線から離れた形状をしていて、水平垂直という人工の世界の掟に抗おうとします。竹を割るたび、竹籠を編むたびに直面する難所ではありますが、もしも竹が完全な水平垂直の性質だったら、さぞや面白くないものになるだろうとも思います。

 

 いくつもの節を越えながら竹を割る作業は、全体のうちのごく一部の工程ですが、思った通りに竹が割れた時には、割った本人にしか分からない満足が得られるもの。

 

 いまのところ、この竹との付き合いにおいて、私は完璧に満足しています。