板橋の田遊びの記憶

 

 こんばんは。バレンタインデーですが、まったく関係のないお話を。

 

 バレンタインの前日、2月13日は、板橋の赤塚諏訪神社で「田遊び」と呼ばれる民俗行事が夜に行われる日です。おなじく板橋の徳丸北野神社では2月11日に行われることになっており、このふたつをあわせて「板橋の田遊び」とし、文化財保護法による重要無形民俗文化財に指定されています。


田遊びに登場する翁
田遊びに登場する翁

 ここでは、いわゆる田楽と呼ばれる伝統芸能が演じられるわけですが、芸能といっても単にエンターテイメントということではなく、農耕儀礼としての芸能という呪術的性格を有する行事です。

 

 農業における豊穣を祈って、その年の農耕を新春に予め演じることを通じ、一年後の豊かな実りを祈願する「予祝行事」。それが田遊びということのようです。

 

 歴史研究者の友人の誘いで、その見学にと赤塚諏訪神社を訪れたのは2012年の夜のこと。それから7年が経って、ふと思い出すことがあったので、ここにその記憶を記しています。

 

 伝統的な行事というだけあって、田遊びにおける一連の流れの中では、竹で作られた舞台装置が数多く登場します。また、祭りの締めくくりには「お篝り」と呼ばれる、いわゆるどんど焼きが行われるのもまた、竹が大きく登場するシーン。


舞台には竹の輪が連なる装置が
舞台には竹の輪が連なる装置が

「お篝り」と呼ばれる、いわゆるどんど焼き
「お篝り」と呼ばれる、いわゆるどんど焼き

 すっかり闇夜となった聖域に、高く聳える竹のお篝りは、ひときわ明るく燃えます。これだけの大きな光は、平常においては乏しい灯火しか存在しなかった時代には特別な明るさであったことと想像されますし、高い建物も多くはなかったであろう頃に、高いお篝りのさらに空高くを目指して飛ぶ火の粉もまた、特別なものであったでしょう。

 

 上昇する熱気にのって、頂の御幣も燃えながら舞い上がってゆきます。

 

 そして、竹が破れるときの音、あたりに響く破竹の高い音もまた、アンプの存在しない世界では神がかった大音量であったのではと、その場で体感したことを記憶しています。

 

 残念ながら、その時の記録として残っているのは、上記の小さな画像のみです。いまであればもう少しよい写真をお見せできたであろうと思われるのですが、むしろ写真に残っていないぶんだけ、私の心身には記憶が残ったのかもしれないという気もします。

 

 このごろはなかなかこうした行事に足を運ぶことができませんが、またチャンスがあれば見学をしたいものです。