風の茶杓

 

 風の茶杓をつくりました。

 

 春の個展の初日に、若い茶人のかたにこの茶杓をお求めいただきました。ほとんどの場合に私は自分の茶杓に銘をつけず、筒も必ず拵えるわけではありません。今回も無銘の茶杓でしたが、後日ギャラリーを通じて銘と筒書きのご依頼がありましたので、それにお応えしました。


煤竹の濃褐色に、ごく淡いグラデーションのある茶杓です
煤竹の濃褐色に、ごく淡いグラデーションのある茶杓です

 茶杓はかなり濃いめの褐色の煤竹で、ごく控えめな濃淡の変化が節上、節下ともいくつかの帯になって景色をつくっています。全体に細めで控えめなクラシカルな姿で、どちらかといえば力強い姿が好きな私自身もたいへん気に入っている、美しい竹の茶杓です。

 

 お客様ご自身で用意された銘がございましたが、よい銘があれば作者に名付けて欲しいというご要望がございましたので、よく考えて、もとの銘を参考にしつつ僭越ながら少し手を加えさせていただきました。

 

 銘は『風』。「かぜ」と読んでも、あるいは「ふう」と読んでも良いのではおもっています。


煤竹茶杓 銘『風』初田 徹 作
煤竹茶杓 銘『風』初田 徹 作

 この茶杓が、持ち主となる茶人のかたの、これからの茶の風とともにあればと。私自身の茶杓づくりにとっても、気持ちのあらたまる風となりました。

 

 * * *

 

 7月以降のことし2019年後半も茶杓削りには力を入れます。近々、納品の予定もあり、夏の終わり以降にもなんらかの展示の機会ができるのではとおもいます。お知らせの準備が整い次第、こちらでご報告をいたします。

 

 文月。よき時間、よき風とともにあらんことを。