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6月。常設の納品のための制作

 

 6月になりました。梅雨入り間近の空気がときに重く感じられます。

 

 年始から春まで上海、京都、東京とつづいた展示が一段落して、常設の取扱各店への納品のための制作をすすめています。


煤竹茶則、煤竹中国茶杓、煤竹金彩中国茶杓 竹工芸家 初田徹
煤竹茶則、煤竹中国茶杓、煤竹金彩中国茶杓

 上の写真の左から、煤竹茶則、煤竹中国茶杓、煤竹金彩中国茶杓です。

 

 節の高さや竹の古色、漆や金箔と煤竹の艶の対比、類似する形状ながら同じものはありません。反復のなかに自然と生じる差異は、日常の繰り返しの只中にある仕事らしい生まれ方であると同時に、その結果として生じる茶のための道具のありようはしかし非日用です。


2024年の紫陽花
ことしの紫陽花

 紫陽花が咲いています。

 

 土壌のpHの値によって紫陽花の色が変わるというのはよく聞かれることですが、同じ株でも花の付き方は毎年おなじというわけではないようです。ある年に盛んに咲いたかと思えば、翌年はお休みということも。

 

 紫陽花に限った話ではなく、たとえば畑の作物に連作がむずかしいように、花においても、毎年毎年、同じように咲き誇るわけではないというのは、園芸品種であってもある意味で自然なことのように感じられます。

 

 年々姿を消すわずかな空き地に生じる草花も、少しずつ勢力図が代わって、脅威と言われるような外来種の勢いも、案外と攻勢一辺倒ではなかったりもするようです。


煤竹茶杓 竹工芸家 初田徹
煤竹茶杓の明暗

 抹茶のための煤竹茶杓もおなじく削っています。

 

 * * *

 

 今年も例年同様に展示の立て込む春には散策をする余裕がありませんでした(仕事があることが何よりありがたいです)。さて展示が落ち着いたところで、梅雨入りをするまえに少し遠出などして色々と見て回ろうと新幹線のチケットも取ったのですが、ホッとして気の緩んだところで少々体調を崩してしまい、すっかり時間の余裕もなくなったことで遠出は断念しました。今はその時ではないというお告げでしょう。

 

 仕事においては、こつこつ淡々と日々を続けることが大事であるように、もういっぽうの余暇もまた、淡々と休み、淡々と体を動かして体力を維持向上することが大事だと、基本的なことを改めて認識しました。散策の反復も仕事のうちと考えて。


紫陽花
「晴れ間」のありがたい季節がもうじき

 本日、ここに掲載しました中国茶杓と日本の茶杓は、近いうちに名古屋のAnalogue Lifeへ納品予定です。お店でご紹介いただくのは少し先になるかもしれません。サイトのURLはこちらです→ https://analoguelife.com/ja/artists/toru-hatsuta

 

 また、東京の学芸大学駅のMIN GALLERYでは、新たにオンラインショップがオープンしました。サイトのURLはこちらです→ https://min-gallery.jp

 

 MIN GALLERYのトップページから下の方へスクロールしてゆくとショップが見られます。今月は店頭においても常設での営業日が何日かあるようです。

 

 そのほか取扱各店への納品のため鋭意制作中です。限られた日にちに行われる展示も楽しいものですが、その日の気分でぶらりと出かけられる常設が、私自身がお店を訪れる際には実は好きで、いまどき常設は難しい時代だとは思うのですが、私の要望に応えていただいて、ありがたいことです。

 

 梅雨の散策、ことしは意識して過ごします。