こんにちは。オンライン小品展はあす10日(日)で第一部の花入の展示を終え、第二部の準備期間に入ります。
第一部の展示では、掛花入を9点展示しています。壁、柱に掛ける竹花入・籠花入は私が個人的に好んでいるものです。幾つか理由はあるのですが、ひとつには、壁に花を咲かせるのが面白いという理由があります。
道を歩いていると、ちょうどいまのような季節には、壁の隙間、アスファルトの隙間などから種々の草花が逞しく伸長している様に出会います。毎年、同じ場所に同じ種類の植物が縄張りを持つこともあれば、いつの間にか領主が交代していることもあります。
こんな景色です。
![壁の花。コンクリート編](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s322cb8739deb5d3c/image/ia3e3314546939fec/version/1589013650/%E5%A3%81%E3%81%AE%E8%8A%B1-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B7%A8.jpg)
![壁の花。鋼鉄編](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s322cb8739deb5d3c/image/i9f8faa7d8334f6d2/version/1589013630/%E5%A3%81%E3%81%AE%E8%8A%B1-%E9%8B%BC%E9%89%84%E7%B7%A8.jpg)
自然の生け花といいますか、本人(花)にしてみれば、文字通り生きているだけなのでしょうが、まるで誰かが入れたかのように、その場に馴染んでいる様子は、不思議と心惹かれるものがあります。
私にとっての掛花入の魅力の要素として、そうした景観と重ねてみているところがあります。置花入に入った花は、地面に根を下ろす植物の姿に近い、まったく違和感なく受け入れられる姿をしています。壁の花入に入った花は、それとは少し異なる姿で、考えてみれば妙なところに咲いている花ですが、これもまた道を歩けば出会える姿で、人工都市の一つの景観として目を楽しませてくれるものです。
さすがに、室内の壁がメリメリと破れて、そこから花が咲いているというのは穏やかではありませんが、そこに花入があることで、花と壁とを繋ぐ存在となり、ほんらい内と外とを隔てる壁が、こんどは内と外とを繋ぐものともなります。
![『煤竹花入 鉈目』竹工芸家 初田 徹 作](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s322cb8739deb5d3c/image/i33980df4d21ade84/version/1589013942/%E7%85%A4%E7%AB%B9%E8%8A%B1%E5%85%A5-%E9%89%88%E7%9B%AE-%E7%AB%B9%E5%B7%A5%E8%8A%B8%E5%AE%B6-%E5%88%9D%E7%94%B0-%E5%BE%B9-%E4%BD%9C.jpg)
第一部の各作品は以下のリンクからご覧いただけます。
・作品No.1『籐組掛花籠 鉈の鞘』
・作品No.2『籐組網代掛花籠』
・作品No.3『籐組網代掛花籠』
・作品No.4『網代細編掛花籠』
・作品No.5『籐組掛花籠』
・作品No.6『網代編掛花籠』
・作品No.7『籐組掛花籠』
・作品No.8『籐組掛花籠』
・作品No.9『煤竹掛花入 鉈目』
・作品No.10『煤竹小花入 一輪』
明日まで、ご来場をお待ちしております。